「再生可能エネルギー賦課金」という単語は新聞やテレビで一度は聞いたことがあろうかと思う。
「再生可能エネルギー賦課金」とは再生可能エネルギーで発電した電気を、
電力会社が一定価格で買取ることを国が約束する制度。買取る費用は国に変わって消費者から月々の電気使用量に応じて、「賦課金」という形で集め、
再生可能エネルギーの導入を支えていく制度のことで、震災直前の2011年に国会通過し、運用が始まったものである。
太陽光バブルと言われたように、当初からバランスの悪い問題のある制度であったが、一度導入された以上、20年間は付き合っていかなくてはならない(個人的にはどこかのタイミングで買取停止が行われると考えている。でないと、下記試算のように多大な負担が知らない間に襲ってくることになる)。
というわけで、先日、久しぶりに資源エネルギ庁の固定買取制度の情報公開HPを覗いてみたので、現状と将来予想をここに記録しておく。下記データは資源エネ庁のHPをもとに作成している。
なっとく!再生可能エネルギー 各種データの公開
再生可能エネルギー買取量
再生可能エネルギー買取量は平成24年度に559,021[万kWh]であったものが、平成25年度には1,811,854[万kWh]、平成26年度には2,860,154[万kWh]と 順調に伸びていることが分かる。制度開始以降、これまでの累積は6,685,413[万kWh]となるが、うち太陽光が62.3%も占めている。
買取量の増加率
さて、それでは買取量の増加率を比較してみる。太陽光(10kW未満)の買取量について、平成24年度の買取量を基準(1)とすると、平成25年度は2.1倍、平成26年度は鈍化し1.2倍、平成27年度7月末時点においては1.1倍となっている。驚くべきは太陽光(10kW以上)の買取量である。なんと平成25年度には22.4倍、平成26年度は3.1倍、平成27年時点でも2倍のスピードで伸びているのが分かる。それに対して、風力、水力、地熱は検討から運転開始まで工事期間が長くかかることもあり、増えてる時もあれば、そうでないときもある。ベース電源として期待される地熱が少しずつ伸びているようなのが、楽しみなところである。
再生可能エネルギー買取金額の推移
お次は買取金額である。平成24年度は1782億円、平成25年度は5,791億円、平成26年度には大台の1兆円を超え、平成27年度は1.5兆円に届こうかというペースで増えている。なお、これまでの累計買取額は2.3兆円程度となっている。
買取金額の増加率
買取金額の増加倍率は年度を経るにつれ、鈍化しているものの、平成26年度においては前年比1.74倍、平成27年度も前年比1.5倍程度にはなりそうである。
将来推定
最後に将来想定である。平成26年度までは買取量、買取額も実績値として、HPで公表されており、赤字で記した。平成27年度以降については、前年度比1.1倍伸びていくものと仮定し、算出した。その結果、平成28年度には買取累計額が5兆円を超え、制度期限である平成43年においては単年度買取金額で6.8兆円、累計買取金額で64兆5000億円と試算された。その時点における国民一人あたりの年間負担額は61,321円、月々当たり5,110円を通常の電気料金とは別に支払うことになる(賦課金単価は6.93円kWh想定)。ちなみに東京オリンピック、2020年時点では国民一人あたり年間21,308円、月々1,776を支払うことが必要になる。これは比較的甘目な想定と個人的は考えており、東京オリンピックまで現在のペースで再生可能エネルギーが導入されると仮定した場合には、国民一人あたり年間47,678円、月々3,973円を支払うことが必要になる
まとめ
消費税1%増税することで2兆円の効果があるといわれるが、単年度で6兆円となると現在で消費税3%増税程度のインパクトがあることになる。 高齢化社会、若年層への支援など財政が限られる中で対応していかなくてはならないのだが、果たして、再生可能エネルギーにそこまでかけてよいものだろうか、そろそろ冷静に考えてみる時期ではないだろうか。